大学生を活用した事業は以前から存在するが、これまでと違う4つの特徴として、(1)全国500以上の大学当局とのネットワーク(2)100団体以上の学生団体とのネットワーク(3)13万人の大学生とのネットワーク(4)日本最大級の大学生向け媒体の発行―を挙げる。
これらの強みを生かすことにより、全国の大学生に向けて企業の商品やサービスなどを広く認知させ、大学生の声を商品開発や企画に反映する。また大学生と直接的に接点を持つ形でのプロモーション、アルバイトや新卒の採用なども有効に行うことができることを企業にアピールしている。
大学在学中の1998年に家庭教師派遣会社を創業した。8万人の登録者を抱え常時稼働者は3000人。その中で大学生が持つ独自の感覚や視点、考え方を吸収し大学生事業のノウハウを蓄積する。
小川誠社長(32)は大学生を「社会人になる前の最終世代で、『生産する側』『販売する側』の視点をまったく持たない純粋な『消費者』として最も成熟した層」と位置付けている。
発行部数30万部で大学生向けフリーマガジンとしては日本最大級の「RD」、大学生限定のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や求人情報サイトなどのメディア事業、アルバイト派遣などのリクルーティング事業を行っているが、中心となっているのがリサーチ、商品企画などの大学生マーケティング(『素朴な疑問』参照)事業だ。
「だれもが大学生のことはなんとなく分かっているつもりになっている。しかし一方的な先入観がマーケティングミスにつながる」と大学生マーケティングの重要性を語る。
「大学生の価値を社会に提供していくことで日本経済の活性化に貢献したい」との思いから企業に対し、大学生を安い労働力としてではなく、将来の顧客として位置付けるよう意識改革を促し、大学生の価値の向上に努めている。
一方、大学生に対しても学生時代に十分に社会勉強をしないまま、安易に就職先を決めてしまうことで、入社3年以内の離職率が30%以上というミスマッチを引き起こしている現実を憂慮している。「大学生に対し、社会に出る前の準備段階でさまざまな場面を提供し、社会と学生の懸け橋になりたい」と意気込んでいる。
事業をより発展させるために2009年11月に上場を予定している。
【素朴な疑問】
大学生マーケティング
単に大学生という切り口だけではなく、大手リサーチ会社もできないようなマーケティングリサーチを行うことができる。「銀行に就職が内定した東京大学の4年生30人」「ミスキャンパス候補の女子学生50人」「早慶の体育会所属の1年生男子100人」など細かいセグメントでの依頼に対応する。
小川誠社長は従来の大学生マーケティングとの違いを「いかにプロ仕様でやるか」と質の高さを強調する。
菓子メーカーの新商品発売前のプロモーションでは「謎の言葉をはやらせろ」というキャンペーンを行った。学生に謎の言葉をプリントしたTシャツを着てもらい、複数でキャンパス内を練り歩くほか、授業を一番前の席で受けるなどすべて事前研修を行って綿密に打ち合わせ、写メールで活動を報告させた。
大学当局とのつながりを生かしてオフィシャルな場で活動することができ、多くの大学生や学生団体とリアルな接点を作り出せる強みを生かして、企画から運営まで一貫して提供することができる。
(フジサンケイビジネスアイ 2008年1日21日)
(ベンチャーファクトリーニュース 2008年3・4月号掲載)
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ラフデッサン
上場宣言
上場を目指す経営者が成長戦略と決意を語る
2008/02/01
小川 誠 社長 |
大学時代は自分の未来設計図を描くための重要な時期。ラフデッサンという社名は、大学生の間に何度も「下描き」をしてほしいという理由から名付けた。将来の日本を担う大学生に夢、勇気、活力を与え、豊かなキャンパスライフ実現のためのサポートを行うことで社会の活性化に貢献したい。 |
ウチはこんな会社だよ ▽本社=東京都新宿区西新宿7-21-1 新宿ロイヤルビル8階 ▽設立=2005年10月 ▽資本金=2億1500万円 ▽従業員=30人 ▽売上高=1億3000万円(2008年11月期・4ヵ月変則決算) ▽事業内容=大学生とのネットワークを活用したマーケティング支援・リクルーティング支援 |