インターネットが進歩するにつれ、ネットワークで繋がった先まで含めた生産性の向上が求められるようになりました。今まで自社内だけで共有していた情報も、取引先ともスムーズに共有したい。そのためには、ソフトウェアメーカーやソフトウェアの種類にとらわれない情報処理技術が必要です。
こうした時代のニーズにより1998年に誕生したのが、文書やデータの意味や構造をソフトウェアメーカーやソフトウェアそのものに記述する言語・XML(エックスエムエル)。そして、XMLに特化したソフトウェア開発企業として、日本で最初に設立されたのが当社です。
現在、XML技術などを活かしたデータ連携を可能とするパッケージソフトは、現在国内で約2000社に導入されており、今後5年で10倍に増えるといわれています。
私がXMLに出会ったのは、外資系ソフトウェアメーカー・ロータスに勤務していた時でした。当時「常に5年先を見据えて企画・立案せよ」と上司から言われていた私は、インターネットで繋がった世界でのグループウェアの生産性向上に限界を感じていました。メーカーやソフトウェアが違っていても、さまざまな会社を「つなぐ」技術はないものか。XMLを知った時、その可能性を確信しました。私は早速同僚であった北原淑行(現副社長兼CTO)と会社を立ち上げ、XML技術を活用するための商用エンジンを世界で初めて開発しました。
2002年には、データ連携ミドルウェア「アステリア」を開発。創業以来XMLの啓蒙を地道に行なってきたこともあり、その後飛躍的に業績を伸ばすことができました。そして、節目となる10年目の今年6月、東証マザーズに上場しました。
主力製品となる「アステリア」シリーズは、市場のニーズに合わせてラインアップを拡大し、現在では4製品です。同シリーズの販売とサポートだけで、当社の売上の90%以上。そして、アステリアに続く第2、第3を狙う新製品として、内外の情報を複合的に活用できるソーシャルカレンダー「シー・ツー・トーク」、オンライン表計算サービス「オンシート」、次世代Webの研究開発プロジェクト「リンガー」などの新しい分野にも挑戦しています。
製品販売は、パートナーとなるシステム開発会社16社を通じて行なっています。現在、当社の製品が導入されている企業は410社以上。大半が、大企業または中堅企業です。企業の規模が大きいほどシステムが煩雑となり取引先も増えるため、「つなぐ」ニーズが高まるからです。11月からは、月額7500円から導入できる製品の提供も開始。より多くの企業に活用いただけるよう、製品群の充実に努めます。
今年10月には、SaaS(Software as a Service)専門の子会社を設立。オンライン表計算サービス「オンシート」の提供を開始しました。さまざまな企業データと連携しながら、Webブラウザから直接操作できるのが特徴です。同事業は、3年後には年間10億円規模への成長を見込んでいます。
立ち上げ時においては、香港のベンチャー企業・チームアンドコンセプト社との提携を行ないました。今後も、技術や製品に特徴のある企業とは、国内外問わず積極的に組んでいきます。
「パソコンの父」と呼ばれる科学者アラン・ケイは「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」と言いました。当社もまたソフトウェア業界の未来を切り拓くべく、これからも新しい時代に貢献するソフトウェアを開発していきます。(談)
(フジサンケイビジネスアイ 2007年11月19日掲載)
(ベンチャーファクトリーニュース 2008年1・2月号掲載予定)
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インフォテリア
TOPが語る
新興市場上場企業のTOPが、上場の経緯や成長戦略を語る
2007/11/19
平野洋一郎 代表取締役社長兼CEO 《ひらの・よういちろう》 |
1963年生まれ。熊本大学工学部中退後、日本語ワープロJETシリーズの開発に従事。 その後ロータスにて『ロータス1-2-3』や『ロータスノーツ/ドミノ』などの製品企画や マーケティングに携わった後、98年インフォテリアを設立し代表取締役社長に就任。 現在に至る。熊本県生まれ。 |
インフォテリア(マザーズ3853) ▽本社=東京都品川区大井1-47-1 NTビル10F ▽電話=03-5718-1250 ▽URL=http://www.infoteria.com/ ▽設立=1998年9月1日 ▽資本金=7億3585万円(2007年10月末現在) ▽社員数=56名(2007年10月末現在、連結) ▽事業内容=XML技術を基盤とした「つなぐ」ソフトの開発 ▽業績=売上高10億900万円、経常利益2億700万円(2007年3月期、連結) |