改めて言うまでもなく、リクルートは日本トップクラスの経営者輩出企業である。1960年の創業以降、急成長してきた同社だが、特に1983年からは売上 1000億、社員数1000名の会社規模がたった8年で売上1兆2千億、社員数1万2千人にまで拡大。そんな時代、リクルートで10年間営業マネジャーとして活躍したイプセ代表、梅村氏に「営業マネジャー」の最新状況を聞いた。
社員の「質」と「タイプ」は大きく変わる創業時からついてきてくれた社員と、それなりの規模になって入社した社員とでは、同じ社員でも実は全く違う社員だ。創業時のベンチャーに入る社員の多くは理念先行型。多少の困難や不条理は、気合と根性でなんとかしてしまう。しかしこの傾向が続くのはほんの一時。社員が100人を超えれば、創業時の以心伝心的な理念共有は通じない。「入社時の適正検査の成績ひとつとっても創業時と社員300人時代では、新入社員の偏差値も10は違う。」と梅村氏。
また、社員300名を過ぎたら「なんちゃって課長・部長」では会社は成長しなくなってくる。急拡大する組織では、プレイヤーとして実績を残した若手を、十分な教育や訓練なしにマネジメントに抜擢することが日常茶飯事だ。抜擢された当人はやる気満々だが、レベルの低いマネジャーの下では、優秀な新入社員も育たない。
追いうちをかけるように、10年以上前から営業マネジャーに求められる役割が一段と複雑化してきた。きっかけはウィンドウズ95の普及によりインターネットが一般的に利用されるようになったことだ。結果、営業マンと顧客の間にかつては存在していた情報格差はあっという間になくなった。
■「現場における経営者」に求められる4機能
現在、営業マネジャーに求められる役割は次の4つだ。顧客に最も近い立場で戦略を立案する「マーケッター機能」。戦略に基づいて現場に即した戦術を展開する「リーダー機能」。中間管理職として意見を調整する「コーディネーター機能」。そして部下のモチベーションを向上させる「コーチ機能」である。
「ほとんどの人は、自分にあったタイプが1つ以上はある。」と梅村氏。自分にあったタイプを磨けば自ずと結果につながるはずなのである。しかし、営業マネジャーになるための教育を受けていない人には、それさえも分からない。
営業マネジャーに求められている役割は、「現場における経営者」だ。社員300人以上の規模になると、経営者には営業現場の状況は分からない。営業マネジャーが、経営者の代わりとして営業現場を取り仕切る必要がある。
社員数が300を超えた企業経営者は、営業マネジャーの教育・育成に注力すべきだ。今、取り組めない会社に未来はないと思う。
(ベンチャーファクトリーニュース 2008年1・2月号掲載)
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イプセ
企業クローズアップ
要注目、今後の成長が期待されるベンチャー企業を紹介
2007/12/15

イプセ ▽本社=東京都港区 ▽設立=1999年10月 ▽資本金=3000万円 ▽問合わせ先=03-5570-8919 |