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サーティファイ

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2007/12/11

コンプライアンスを「法令遵守」と訳すことは適切ではないどころか、むしろ、誤解を招き、組織に弊害をもたらしかねません。「コンプライアンス(compliance)」は、「Comply」という動詞から派生したものであり、その語源は、「満たす」、「充足する」と訳されます。また、工学用語では、「コンプライアンス」は「しなやかさ」「柔軟性」と捉えられています。それ故に、「コンプライアンス」とは、「社会からの要請に応じながら、組織目的を実現していくこと」(郷原信郎教授)を意味しているのです。
もともと法令は、社会からの要請を共通の規範化・文書化したものであり、当該法令等を組織の構成員に守らせることを「法令遵守」と呼びます。社会からの要請が法令等に適時に反映されているならば、法令等の遵守を徹底することは、社会からの要請にも調和した活動に繋がります。しかしながら、我が国のように司法制度が硬直化し、社会からの要請が、必ずしも適時的確に法令等に反映されにくい場合には、法令等を形式的に遵守したとしても、必ずしも、社会からの要請に調和した活動になりません。

そこで、法令等を、単に形式的に遵守するだけではなく、法の立法趣旨やその背後にある社会からの要請を踏まえた活動を行おうとするのがコンプライアンスへの取組みです。他方、狭義で捉えるコンプライアンスでは、社会からの要請のうち、緊急性が高いもののみを対象とした取組みが中心で、重要なことでも緊急性が中程度のものへの取組みは、一般的にリスクマネジメントとして取扱われます。さらに、中長期的な観点から、社会の要請を捉えようとするのがCSR(企業の社会的責任)です。このように様々な経営用語が用いられますが、いずれも社会からの要請への対応という観点からは同義であり、それらが顕在化する時点間とその事象面の相違でしかありません。
いうなれば、社会的要請への適応としてのコンプライアンスとは、企業を取り巻くあらゆる社会からの要請(=リスク要因)を具体的に特定化し、それらの取組むべき優先順位を明確にして、優先度の高いものから取り込んでいくことで社会からの要請に適時的確に対応する活動を言います。また、社会からの要請は変化し続けるため、継続的に社会からの要請を捉えて、業務に落とし込む日常的な活動そのものを指すのです。そのようにコンプライアンスを取組むことで、当該組織の活動を社会に適応(調和)させ、結果として持続的成長を可能にします。

なお、会社法における内部統制の整備に関する規定の中でも、コンプライアンスへの取組みについては、法令等の遵守を求めているのではなく、法令等の適合性を確保するために必要な体制構築を継続的に取組むよう求めています。(大久保和孝) (フジサンケイビジネスアイ 2007年12月11日掲載)
(ベンチャーファクトリーニュース 2008年3・4月号掲載)

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大久保 和孝《おおくぼ・かずたか》
公認会計士。新日本監査法人CSR推進部長(社員)。慶応義塾大学法学部法律学科卒業。 ECS2000(倫理法令遵守マネジメント システム)規格の作成メンバーで、 環境省・経済産業省・文部科学省等CSR/コンプライアンス関連委員を務める。複数企業における企業不祥事等のコンプライアンス委員等としても活動し、行動規範策定やCSR態勢構築の支援、サーティファイ「ビジネスコンプライアンス検定」の推進支援をはじめとした各種教育研修にも携わる。著作(共著)には「CSRはどのように報告されているか」(宝印刷)、「インテグリティマネジメント」(東洋経済)など多数



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